2007年01月04日|産地レポート(厦門)
現地レポート2007年 福建省晋江地区 青首大根
現在、三商の青首大根は、温暖な南方の福建省で栽培を行っておりますが、この地方でも冬季は温度が下がるため、11月上旬からビニールマルチを用いて栽培を行っています。
ビニールマルチは、大根の根の長さが短くなってしまうのを防ぐためや、播種から収穫までの期間が長くなってしまうのを防ぐためなどの理由があります。
今回は、青首大根の栽培がどのように行われているか、畝立てから発芽までをご紹介させていただきます。
1.栽培候補地の圃場では、事前に土壌中のpHが適正かどうかを調べます。このとき土壌が、酸性よりだった場合には、事前に石灰を散布し土壌を大根栽培に適したpH5.0〜6.0になるようにします。
写真中の圃場では、酸性の土壌になっていたため、石灰の散布を行い土壌酸性度の調整を行いました。
土壌のpHは、水素イオン(H⁺)濃度の高低を表す指標で下の表のような区分で表されます。実際の作物の栽培では、肥料成分の溶解に影響を及ぼし、酸性土壌では根の働きが阻害されるので、適正なpHに保つことが重要です。
酸性土壌で大根を栽培すると写真左のようなネコブ病などが発生してしまいます。
2.栽培圃場に問題が無ければ栽培に向けて大型トラクターを使って耕します。耕耘する前に、岐根大根の原因となる「れき」(草の根など)などを取り除くようにいたします。
3.畝立てを行った後は、元肥として複合肥料、ホウ素などと一緒に地下に生息する虫による食害を防ぐために必要最小限の農薬を土中に混ぜます。
4.そして播種を行いますが、播種間隔が等間隔になるように目印をつけて播種を行うようにします。
5.播種を行った後は潅水を行います。ビニールマルチをかけた後は、芽が出るまでは潅水を行わないので、水分が不足することが無いよう十分に潅水を行います。
6.播種を行った後は時間を置かず、ビニールマルチがけを行います。
ビニールマルチをかけるまでに、時間がかかってしまうと、低温のため抽苔の原因になってしまいます。
ビニールマルチは、左写真のようなビニール素材で出来ており、これを畝の表面にかけることで地温調節、土壌水分の保持、雑草防除、肥料成分の流亡抑制、土の跳ね返り抑制、土壌の膨軟性保持、害虫の飛来防止などの効果を得ることが出来ます。
6.播種を行ってから、3日ほどで芽がでます。芽が出た後は速やかにマルチに穴を空け、芽が外気に触れるようにします。
以前の栽培では、穴を開ける作業が遅れてしまいマルチ中が高温になり苗が枯れてしまう現象がみられました。
写真は播種を行ってから1週間ほどたったものです。このマルチは収穫を行うまでずっと使用していくので、大切に扱っていきます。